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SFFTのCLG規格 検討中【Launchers会報 石井英夫さん記事】

SFFTのCLG規格を考えるにあたり、Launchers会報に載っていた石井英夫さんの記事を熟読中。
「プラス5秒のアプローチ 機体サイズと重量」を逆手に取って、マイナス5秒に上手く持ち込めるとイイのですが。

■ CLG機の問題あれこれ (1)より抜粋
(出典はLaunchers会報 2008年3-4月号と5-6月号 ⇒ 
コチラ

2.静気流滞空75秒へのアプローチ
ここからは、筆者石井が今取組中の新しい試みについて書いてみます。模型ヒコーキの性能も言ってみればある意味相場で、石井CLG機の現相場は滞空70秒あたりとみています。こいつを75秒超えに引き上げたい。わずかプラス5秒ほどのことですが、この5秒のカベをどうやって突破するか。
まず、確認しておかなければならない条件が2つあります。
1点はカタパルトゴム何グラムでやるかということ。
ランチャーズ方式では2グラム、瀬谷方式では1.5グラムですが、ここではランチャーズルールの2グラム方式とします。
もう1点はゴムを引っぱる能力(つまり腕力)どの位を想定するかということ。
パチンコ機の上昇高度は、ひとつには腕力で決まるからです。最近のゴムは伸び率最大10倍にも達していますが、残念ながら小生最近では体力が落ちて、せいぜい6~7倍ぐらいしか伸ばせません。それゆえ小生の腕力ではゴム2グラムでも1.5グラムでもそれほど変わりはなく、もし小生の腕力で75秒が可能なら、長身・怪力の持主なら80秒超えもらくらくてなことになりましょうか。

* プラス5秒へのアプローチその1 機体サイズと重量
CLG競技機で滞空性能ベストを狙う場合、まずどの機体サイズでやるかが悩ましい問題です。
滞空重視の大型機では高度が不充分、高度重視の小型機なら一見良さそうですが、計測してみると沈下に問題ありでこちらも不合格。長いことやっていますからいろいろ験してみましたが、ごく平凡に「トレ ーナー機」サイズ(スパン26センチ)あたりが最適という結論に現在落ちついています。
「トレーナー機」というのは20年ほど前の武蔵野グリーンパークの時代に普及のため設計した初級者用機ですが、高級そうなモデルをいろいろやるのはもう疲れた、カンタンに作れる「トレーナー機」で充分、と今ではそこに戻っています。(トレーナー機は⇒コチラ

次に最適重量問題ですが、これが意外にわかるようでわからない。軽ければいい、というものでもないみたいです。「トレーナー機」の場合ですと、材料と工作法の違いで6グラム、7グラム、8グラムと、そのあたりにおさまるのがふつうのようです。材料と翼厚によっては、どうするかと9グラムぐらいになることもあり、また超軽い材料なら5グラムに仕上がることも、ないではありません。しかしここでは、6グラム、7グラム、8グラムの3機の範囲で考えます。
さて、同じ「トレーナー機」で機体重量が違うと性能がどう変わるかですが、困ったことに、といっても実際には困りませんが、重量差ほど性能差が感じられないのです。常識的にはいちばん軽量の6グラム機が性能最良の筈なんですが、飛ばしてみて、そういう感触は得られていません。そこで、重量差が性能差に直結しない理屈を、石井流義の考え方でヒネリ出してみました。すべては「臨界現象」というレイノルズ数事情と考えてどうでしょうか。滞空性能は上昇高度と滑空沈下率で決まります。

6グラム機、7グラム機、8グラム機の上昇高度を較べ、また滑空沈下率と較べた場合、案外なことに上昇高度と滑空沈下率のどちらとも、3機それほど違いがないように見えるのがフシギです。実際には若干は違うのかも知れませんが、明白な違いとは感じられない。6グラム機と8グラム機では、重量差30パーセント以上あるというのに、重量差が性能差として現れない理由は何か。
まず、滑空性能から見てみます。「トレーナー機」中央翼弦は5センチ、平均翼弦約4.5センチですから、7グラム機の場合、細かい計算は省きますが、滑空速度4メートル/秒、レイノルズ数Rn12,700と想定します。問題はこのレイノルズ数域がくせもので、臨界現象の中心域に当たると考えられます。 、、、、
つまり「トレーナー機」は空力変化のいちばん急な崖の斜面に引っかかっているというわけです。ためにわずかなレイノルズ数の増減で、空力性能が劇的に変わる。
重量差の問題がこれにどう関わるかといいますと、重い機体は翼面荷重が大きいということで滑空速度が増す。レイノルズ数は速度と翼弦長の積ですから、重量の大きい機体は速度が増した分レイノルズ数大となって翼効率が向上する。
つまり、重量の大きいマイナスは翼効率の向上プラスで相殺されて、差引チャラになる、そう考えることができます。
このことを立証する別の実験例が豊富にあります。「トレーナー機」の中央翼弦は5センチですが、これを縮小する方向に4.5センチ、4.0センチ、拡大するほうに5.5センチ、6.0センチと増減してみるとレイノルズ数変化と翼効率変化の関連が明白に実感できます。
4.5センチに翼弦長を減じただけで歴然と滑空性能が劣化し、4.0センチ翼弦の滑空はほとんど使いものになりませんでした。いっぽうの翼弦長拡大側の滑空性能良化は当然で「トレーナー機」近辺のレイノルズ数域では、 ほんのわずかなレイノルズ数変化で特性がコロコロ変わるのです。

さて、もういっぽうの上昇性能のほうにも、レイノルズ数事情が関わってきます。「トレーナー機」ぐらいのレイノルズ数ですと上昇時の空気抵抗の絶対値が大きいので、軽量の機体は質量に蓄えられた小さな推進力(慣性力)では、空気抵抗のブレーキにすぐ負けてしまいます。ですから、本来なら上昇に有利であるべき軽量の機体が、パチンコ機の場合は必ずしも上昇有利とはなりません。ピンポン球とゴルフ球の飛距離の差の例が、それに当たります。
ただしです。以上の話は「臨界現象」のまっただ中にある「トレーナー機」という特殊例です。レイノルズ数の大きい大型機の場合きは、上昇も滑空も軽量の機体が有利となる筈ですから、お間違いのないように。
2008.4.石井英夫


タグ:競技会

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